4,共通
一時間ほど経った頃だろうか。だいぶ乾いてきたのか、ロームは靴下と靴を履き始めた。履き終わってチラッとクリスのほうを見ると、睡魔に勝てなったのか殆んど寝てしまっている。
「な、一つ質問していいか?」
突然呼びかけられたため、クリスは飛び起きてしまった。偶然自分が寝ているところの真上に垂れ下がっていた枝が顔に直撃してしまた。
「なんですか、いきなり。靴と靴下が乾いたなら、立ち去ってください」
「おいおい、そんな酷いこというなよ~。もう確実に夜の2時は過ぎてるぜ、そんな時に一人で山道歩けっていうのはきつすぎるぜ~。って言うか、俺がお前を起こしたのはそんな事を聞くためじゃなくて、質問したかったからだ」
「質問って?」
「この火、どうやって付けた?。お前、そんなに旅に慣れてる風でもないし、野宿にも慣れてない。そんな奴がこうも簡単に火を付けられるもんか?」
「何が言いたいんですか・・・・・」
「お前・・・・力持ってるだろう」
「!・・・・・・」
クリスは目を見開いて絶句した。
何故分かった・・・・・!。
「その反応、図星だな!。俺もまだまだ捨てたもんじゃないね~。靴下乾かしてたら気がついたんだ。少し残留が感じられたからな。」
「残留?」
「あぁ、魔術を使うと少なからず空気中に残りかすが残っちまうんだ」
ロームはそれから魔力の残留の定義についてあれこれクリスに聞かせた。クリスはその話で少しロームに対する警戒を弱めた。
「なぜ、そんなに詳しいことを知っているんですか?」
「そりゃ~、お前と同じだからに決まってるだろう。」
「同じ・・・ってことは彼方も魔力を持っているんですか!」
クリスは少しだけ嬉しかった。今まで自分と同じ人など見たことが無かったから。
「あぁ。お前誰に力の扱い方習ったんだ?。それとも学校飛び出してきたのか?」
「学校?。そんなとこ行っていません。自己流です。魔術師の学校があるんですか?」
「あるよ。俺はそこ出身だからな。それよりも自己流で力を使って火をつけるた~凄いな! もしかして、分裂できたりするのか?」
「分裂? なんですかそれ」
「ん~なんて言ったら良いのかな・・・・。全く違う魔術を一度にやってのけることだな!」
クリスは眉間に皺を寄せて考えた。
「やれるかどうか分かりませんが、やってみます。でも、その代わり一旦火を消していいですか?」
「どうぞどうぞ」
クリスは焚き火に意識を集中させた。
消えろ!・・・・・。消えろ!・・・・・。
火は少しずつ消えていった。完全に消えるまでは多少の時間が掛かってしまった。
火を消し終わった後、クリスはもう一度意識を集中させるため、目を硬く閉じた。
火を!・・・・・。火を!・・・・・・。
・・・・・!・・・・・。・・・・・!・・・・・・。
それは一瞬の出来事だった。
ロームに向かってそれなりに長い剣が飛んできたと思うと、そこにはもうロームはいなかった。剣が突き刺さっているだけだった。
「できた・・・・・!」
「できたのは凄いと思うが、なぜ俺に剣が飛んでくる。というか飛んでくることを想像したんだ! 危ないだろ!もう少しで俺の体をこの剣が貫いてたぞ」
すぐ横にすばやく避けたロームが、地面に突き刺さった剣を抜いた
「信頼しているからこそやったんです」
「こんな短期間でそんなに信頼されてもね・・・・。嫌味にしか聞こえないよ」
その後、2人は色々と話をした。クリスは孤児院での思い出。
ロームは今までの自分の旅について。
そうこうしている内に太陽が反対側の山から昇り始めた。
「俺はこっちに用があるんだ。お前はどっちに行くんだ?」
ロームはクリスが今まで歩いて来た道を指差していた。
「私は別に・・・・・。ただ、孤児院を飛び出してきただけですから・・・・」
「そうだと思ったよ。だから、俺に一つ提案があるんだ。ここからそうだな・・・・・・三日ほど行った所に大きな街を一望できる崖があるんだ。その崖を背にして森を見たとき、左側の方に標識がある。〈ここからは立ち入り禁止!〉って書いてある。それを無視して標識の後ろを目を瞑って下りろ。そうすればある場所に着く。」
「それは信じていいんですか?」
「信じるか信じないかはお前しだいさ。でも行ってみる価値はあると思うぜ。じゃあな」
ロームはクリスを背に出発した。
クリスは半信半疑でその崖とやらに向かうことにした。
久しぶりなもんで、ものすごく書いちゃいました
。
From ユラ★
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